「雨の日って、私好きだな………。」

ポツリとがそう言ったので、ロロは読んでいた資料から顔を上げた。
視界には、窓から空を見上げるが入った。
雨音が屋根を叩いていく中、ロロは静かに尋ねた。

「何で?」

「何でって………だって雨の日は、ずっとロロと一緒に屋根の下にいられるでしょ?」

はロロを振り返り、可愛らしくにっこりと笑った。
そのままロロの横に来て、生徒会室のソファにドサリと座る。
ロロの体にもたれかかって、言葉を紡ぐ。

「雨の日は、外に出かける気にもならないから、
こうしてロロと一緒に1日をゆっくり過ごせる。
それが嬉しいの………。」

それだけ告げると、は目をつぶった。
本日は日曜日。
二人は生徒会の仕事を片付けるために学校に出てきている。
つまり、学校には誰もいない。
雨なので運動部も今日だけは休みなようだ。

ゆったりとした時間が流れていく。
ロロは傍らにぬくもりを感じ、とても心が温かくなった。
隣ではいつの間にか眠ってしまったが、「スー」と寝息を立てている。
ロロは資料を机の上に置いて、を起こさないよう抱き寄せた。
やわらかい髪に口づけをすると、ふわりとシャンプーの甘い香りが鼻をくすぐる。

(あ、の香りがする…………)

ロロはその香りを胸いっぱい吸い込んだ。
そしてまた、彼女にキスを贈る。
今度は髪じゃなく、やわらかくとろけるような唇に。
ついばむようなキスをして、ロロはふわりと笑った。

本日の天気は雨。
いつものようにどこかには出かけられないけど、
と買い物したり、一緒においしいものを食べに行ったりはできないけど、
こういうふうに静かに過ごす日があってもいいかなと、ロロも密かに思った。
隣で幸せそうに眠る恋人の顔を見つめながら、やがてロロも眠りへと落ちていく。
きっと夢の中での天気も雨で、僕はこんなふうにと過ごしているんだろうなと、
彼はそう思いながら眠りにつくのだった。






本日の天候、雨。されどデート日和