*ちょっとトリニティ・ソウル要素入り




あの戦いから10年……。
僕は大人になり、そして今、富山県にいる。
年老いたコロマルを連れ、寮の管理人としてここにいる。
ただの仕事として……じゃない。僕はまだ、ペルソナとの繋がりが切れていないんだ……。
それは僕だけじゃなかった。

「まさか天田君もここにいるなんて……。
美鶴先輩から、真田先輩がこっちに来てることは聞いてたけど……。」

「僕は秘密裏に派遣されてるんですよ。ペルソナ関係で……。
でも僕もびっくりしました。先輩に会えるなんて。」

とあるカフェの端っこの席で、僕の目の前に座る先輩が笑った。
かつて一緒に戦ったペルソナ使い。
そして……10年間、彼女のことを想い続けていた。
あの時の僕はまだ子供で、大人な先輩には釣り合わなかった。

「天田君もやっぱり、ペルソナ関係なんだ。真田先輩も、そして私も。
ペルソナに関わった人間は、ペルソナから離れられないんだね。」

曖昧に笑う彼女は、昔とちっとも変わっていなかった。
困ったときはいつもこうやって笑っていた。

「……先輩も、ペルソナなんですね。ここに来た理由。」

「うん。表向きは富山にある、桐条グループの研究施設に転勤。
でも本当はペルソナ使いたちの監視よ。
もう、10年前のような悲劇は起こしたくないからって、美鶴先輩が直々に頼みにきた。」

「そうだったんですか……。」

話をしながらも、先輩への想いは膨らんでいく。
ココアに口をつけたあと、「あ、」と先輩が声を上げた。

「そういえば天田君、覚えてるかな?
私が高校を卒業する時、二人っきりの屋上で何か言いかけたことがあったよね。
結局天田君は何かいいかけたけど、言わなかった。」

大きな瞳で先輩が僕を捕らえた。
ずるいよ先輩。そんな顔されたら、僕はあなたが欲しくてたまらなくなる。

あの時言いかけた言葉は、先輩への告白の言葉。
でも僕はまだ子供だったから、その言葉を飲み込んだんだ。
先輩にふさわしい大人になるまで……。
そう思ってきた。そして僕は、大人になった。
これまで何人かの女の人と付き合ってきたし、経験もある。

膝の上でギュっと拳を握る。
少し緊張した。でも、いいよね?
10年も待ち続けたんだ。あなたへの想いを持ったまま……。

「先輩、あの時言いかけた言葉を聞いて、後悔はしないですよね?」

「う、うん……。大丈夫、だと思うけど……。」

その言葉に僕は小さく息を吸って、彼女への想いを口にした。
10年前に伝えたかったこと。

先輩、僕はあなたを愛しています。」

大人になった僕は、堂々と先輩への想いを口にした。







あの日言いかけた言葉をもう一度