生徒会室に入ってから、スザクは目を見張っていた。
なぜならそこには、普段見ないようなものがあったから……。

「か……会長、これって……」

「え?十二単って言うのよね?」

「や、そうですけど……一体何に使うんですか?」

最近じゃこんなのどこでも見ないのに……と、スザクは苦笑した。
日本がエリア11として変わってしまった瞬間から、日本の文化はほとんど消えてしまったから……。

「そりゃもちろん、誰かに着てもらうのよ!!!
だって、3月3日ってオヒナサマっていう日本の行事があるんでしょ?」

ニンマリ笑って「面白そうじゃない」とミレイは言った。
そばではパソコンに向かったルルーシュがため息をついている。
スザクは笑うしかなかった。

(それにしても、こんなの誰が着るんだろう……?シャーリー……とかかな?)

十二単をマジマジと見ながら、スザクはぼうっと考える。
お世辞にも、あまり似合いそうじゃない……。
そりゃシャーリーは美人だし、可愛いけど典型的なブリタニア人だ。
まぁ……ルルーシュなら、髪も黒だし似合うかな……なんて考えてる時に、生徒会室のドアが勢いよく開いた。

「会長!!!連れてきましたよー!!!まさに会長の指示通りの子がいたんでー。」

「リヴァル君っ!!!」

見ればリウ゛ァルにがっしり腕を捕まれた少女がいた。
黒髪に白い肌、華奢な体。
その少女を見て、スザクの目が大きく開いた。
ルルーシュも焦った様子でガタンと立ち上がる。



スザクやルルーシュと同じクラスの日本人。
ひっそりと佇む水仙の花のようで、日本人ながら陰で人気がある少女。熱狂的なファンも多い。
もちろん、スザクやルルーシュが密かに気になっている少女でもあって……。
しかし同じクラスでありながら、あまり話したことがなかった。

……さん。」

……。」

「あら?ルルーシュ君にスザク君。ねぇ、これは一体何事?
急にリヴァル君から生徒会室に来て欲しいって言われて……。」

「会長!!!まさかっ!!!」

ルルーシュの目が鋭くなった。
そんな彼の視線を、ミレイはするりとかわす。
に近づいて舐めるように見たあと、にこっと笑った。

「うん!!!これこそ私が求めていた子だわっ!!!
この玉のような肌!!!さらさらの黒髪!!!
さぞ綺麗なオヒナサマができるわぁー!!!あなた、名前は?」

「え?……ですけど。」

「うむ。じゃちゃん!!!
さっそくお着替えしましょうね♪うふふ、楽しみだわー!!!」

ミレイの手が、の腰に回った。
そのまま引きずるように隣の部屋へ連れていくと、待機していた咲世子にを押し付ける。
自分は十二単を持って、唖然としているルルーシュとスザクに片目をつぶってみせた。

「まぁ、楽しみにしててね。
きっとちゃんの姿を見たら、二人とも燃えるわよー。」

「もっ……燃えるって……。」

「ミレイさん、あまりさんに変なことはしないでくださいね。」

それは僕の担当なので……とこっそりスザクは呟いた。
そのまま、隣の部屋ではのお着替えが始まった。
案の定、ミレイの楽しそうな声との悲鳴が聞こえてくる。

「あらぁ、ちゃんって幼い顔をしてるわりには、結構大きいのね。」

「きゃっ!!!ミレイ会長、さわらないでくださいっ。」

「んー、しかも形もいいし柔らかい〜。」

「ひゃん!!!み、ミレイ会長〜っ!!!」

彼女たちのやりとりを聞いて、いろいろ想像してしまう思春期の男子たち。

(幼い顔のわりに大きい……のか。それは一度確認しないと……。)

(柔らかくて形がいい……。触ってみたいな。)

ルルーシュやスザクがそれぞれ妄想していると、部屋のドアがあき、
げっそりした顔のとニコニコ顔のミレイが出てきた。

「ほぉーら!!!オヒナサマの完成!!!」

胸をはるミレイの横で、顔を赤らめている
綺麗だった。まるで本物のお雛様……。
ルルーシュとスザクは喉を鳴らす。

「会長!!!マジでお雛様みたいっすね!!!」

「うふふ。元がよかったのよ。いい体してたしねぇ〜。」

ニヤリとミレイが笑い、はさらに赤くなる。そのまま俯いてしまった。
何も言葉を発しない二人を見たミレイは、また怪しく笑って口を開く。

「さてと。私は十分堪能させてもらったし、あとはスザク君とルルーシュに任せるわ。」

「俺も。今日バイトあるし、もう行くわ。」

リヴァルも何かを察したようにそう言い、ミレイと一緒に部屋を出ていく。
ルルーシュの声も無視して……。

「あ……それじゃ私、着替えて……」

「ちょっと待って。」

の声とスザクの声が重なる。
驚きつつもスザクを見れば、彼は綺麗に笑っていた。
その笑みは、綺麗すぎて怖いくらい……。

「あ、の……?」

「まさかこんだけ僕を誘惑しといて責任とらないっていうわけじゃないよね?」

彼の手が、の腕に滑る。は戸惑った。
そこにいるのは、いつもクラスで笑顔を振りまくスザクではない。

「え?私、そんなこと……」

「おいスザク。独り占めはよくないよな?」

の前にもう一人の人物が立つ。
ルルーシュ・ランペルージ。
スザクはその黒い笑みをルルーシュに向けて言った。

「ごめんルルーシュ。先に僕に譲ってくれない?いろいろ限界だからさ。」

その言葉のあと、はすぐにソファへと押し倒される。十二単がふわっと広がった。
ルルーシュは軽く睨んだが、すぐにため息をついて言う。。

「仕方ないやつだな。たまには代われよ?」

「うん、わかった。ねぇさん。今から僕と楽しいこと、しよう?」

「え、ちょっとまっ……」

の言葉は途中で途切れた。スザクの荒々しい口づけによって。
このあとは、スザクとルルーシュの両方に美味しくいただかれました。














十二単の想い人














「どうしてこんなこと……」

「突然ごめんね。でも、君がずっと好きだったんだ。」

「俺も……お前が好きだ。その……突然すまなかった。」

を真ん中に挟んで、黒の皇子と白の騎士がそう言うのだった。






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結局こういうオチかい………。なんかこう、ごめんなさい。
それから拍手ありがとうございました!!!