何だこの状況は………?

は沈黙しながら味噌汁をすする。
ん?いつもと少し味が違う。
味噌でも変えたのかなと思い、けれどもなかなかそれがに聞けなかった。
なぜなら…………

「おれ?お父さん、難しい顔してどうしたの?」

菜々子が心配そうにを見つめていた。
もはしを置いて、「風邪でもひいた?」との額に手を当てる。
「違うんだ。」と言って、は彼女の手をどけた。
ためらいがちにも唇を動かす。

「や………今日の味噌汁、味が少し違うなって思って。
味噌、変えたのか?母………さん。」

最後だけ消え入りそうな声だった。
「ああ!!!」と納得したようには笑って答えた。

「うん、変えたの。
お父さんが白味噌よりも赤味噌のほうが好きみたいだから。」

「お父さん、赤いお味噌好きなんだ!!!」

菜々子が嬉しそうにして味噌汁に口をつけた。

だから何だこの状況っ!!!
家に帰れば突然、「今日は家族ごっこをします。」とに言われ、 はお父さんポジションを与えられた。
菜々子から「お父さんお父さん」と呼ばれ、君のお父さんは堂島さんじゃなかったのか?と少し思う。
これを堂島さんが見ればきっと泣くだろうなと考えれば、「ただいま。」という声がして、堂島が部屋に入ってきた。

「あ!!!お帰りなさい、おじちゃん!!!
今日はお母さんがハンバーグを作ってくれたよ!!!
お父さんが赤いお味噌好きだから、お味噌汁もいつもと味が違うの!!!」

堂島はどうやら、おじさんポジションだ。

「………は?」

菜々子の言っている意味が分からず、を見つめる堂島の目が痛い。
この状況を説明しろと目で訴えているのだが、自分だって説明して欲しい。
何でこんなことになってるのか。

「んもう!!!お父さんはしが止まってるわよ。
早く食べて、菜々子とお風呂に入ってあげてくださいな。
遼おじさんは荷物を置いて手を洗うっ!!!」

「お、おぅ………。」

この時には、が将来結婚すれば、
旦那はしりに敷かれるのだろうという確信が生まれたのだった。

「ふふふ、家族って楽しいね!!!お父さん、お母さんっ!!!」














ほのぼの家族ごっこ。




「お父さん、今日は早く帰ってくる予定?」

「えっ!?昨日のあれ、まだ続いてるのか!?」

「先輩ら、結婚したんスか?」

「はぁ!?そうなのかよ!!!」

(いやいや、俺はまだ結婚できないから………。)