ナイトは大切な人のためにある。 ナイトは守るためにある。 僕は君を守りたくてナイトになる――――――。 僕の騎士就任式が行われたその夜、と二人で星を眺めていた。 夜風はまだ少し冷たくて、彼女が心配になったけど、は何も言わずに空を見上げていた。 胸に手をやると、少し尖ったバッチが手に当たる。 それだけで、僕は嬉しくなった。 が僕を騎士に選んでくれたから………。 彼女は皇帝陛下の一番のお気に入りの皇女。 それがあってか、僕が彼女の騎士になると決まった時、他の貴族たちが口々に言った。 「様、イレブンを騎士にしてはなりません!!!」 「彼を騎士にするのなら、他にも騎士をお付けください!!!」 そのたびに彼女は僕の手を握って、花のような笑顔を浮かべて言葉を発してくれた。 「枢木スザクは私の騎士にふさわしいお方。 イレブンだからダメなのだとか、そんなのは一切理由にはなりません。 そして私の騎士は枢木スザク一人で十分です。 私よりもコーネリアお姉様やユーフェミア様のほうが大切なのでは? 他の騎士はその方々につけて差し上げればよいでしょう? 私は彼なら信用できるのです。」 そのまま下を向き、誰にも聞こえないように呟いたのを僕は知っているんだ。 が小さく、 「だって、愛してるから…………。」 と言ったこと。 隣で「くしゅっ!!!」と可愛らしい声を上げてがくしゃみをした。 顔がほんのり赤く染まっているのは肌寒さのせいかな? 僕は白い上着を脱ぎ、彼女にふわりとかけてあげた。 の瞳がこちらを向き、細くなる。口元がほころぶ。 「ありがとう、スザク。」 ありがとう…………その言葉は、上着をかけてあげたことに対して? それとも騎士になったことに対して? そんな疑問が浮かんだが、それがどうしたというのだ。 僕はにっこり笑っての小柄な体を抱き寄せた。 彼女も僕に身をゆだねる。 ちゅっと音を立て、額にキスを送った。 視線を彼女に向ければ、僕を見る綺麗な瞳とぶつかった。 「スザク。私はスザクが騎士になってくれて嬉しいの。」 ゆっくりとが呟く。愛らしい声。 髪をなで、僕も想いを返した。 「僕もの騎士になれてすごく嬉しい。」 ぎゅっと強く抱きしめる。 なんて細い体だろう。 僕はずっと、この小さな存在を守りたかった。 誰でもない、この手で…………。 ふと、急に悲しそうな顔をして、空を見上げたままが言った。 「…………ねぇスザク、死んだ人はお星様になるのよね。 スザクは…………あそこに行かないでね。 あなたがあそこに行ってしまったら、ほら私、手が届かない。」 白い手が、スッと空に伸ばされる。 最後のほうはとても消え入りそうな声。僕は全身で彼女の不安を感じ取る。 そんな悲しそうな顔、君には似合わないよ。僕は君にそんな顔をさせたくない。 空に伸ばされた手を、僕は優しく包み込んだ。 「行かないよ、あそこには。いつだっての隣にいる。 僕たちは二人で一つだ。そんな悲しい顔しないでよ。 君には笑顔が似合うから。さぁ、笑って?」 そう言うと、は空から僕に視線を移し、いつもどおり微笑んだ。 彼女は僕と自分の手を胸の前へと持っていく。 静かに目を閉じて、は綺麗な声で囁いた。 「それじゃあ約束。枢木スザク、ずっと私の隣にいてください。 私はあなたを愛しています。誰よりも………。」 そう告げる彼女がとても美しく見えて、僕は目を細めた。 本当に好きで、守りたくて…………。 心の底から彼女に対する想いが湧き上がる。 ずっと隣にいるから。愛しい君のそばを離れない。だからさ………… 「約束するよ。ずっと隣にいる。だからも約束して?僕の隣から離れないって。 があそこへ行ったら、ほら、僕も手が届かないよ?」 空を見上げ、手を伸ばす。 傷だらけの手が、暗い空に浮かび上がった。 今度はが僕の手を包み込み、誓いの言葉を立てた。 「するよ、約束。絶対離れない。スザクが………大好きだから。」 輝く星に伸ばされた二人の手は、そのまま絡み合っていく。 そして、静かに甘い口づけが交わされた。どこまでも甘く、とろけるような…………。 星降るこの地で交わした約束 10000hit小説 -------------------------------------------------------------------------------------------- 結構文がおかしいのは、忙しい中無理して書いたからです。 大目に見てやってくださいぃ〜っ(滝汗) 戻 |