★「きっとここから始まっていくんだね」の続きもの………だったりDESU★






水曜の数学の時間は僕の好きな時間だ。どうしてかって?答えはすごく単純。
その時間、は体育の授業で陸上だから。僕の席からの走る姿が見えるから。
思えば彼女が気になり出したのは、この場所で、この時間だった。
そして今日も、彼女は長い髪を一つに結んでトラックを走っている。
一生懸命走っているけれど、やっぱり最下位。本当に彼女は運動が苦手だ。
でも、顔を真っ赤にして肩で息をするは凄く可愛い………。
じっと見つめていると、彼女は上を向いてきらきら光る瞳で僕を捕らえた。

(あ………)

そしてにっこり笑って、小さく手をふる彼女に、心臓がドクンとはね上がる。
もしかして、彼女も僕のこと、見ていたのかな………?
そう考えると急に恥ずかしくなって、僕は自分のノートに視線を落とした。








「でね、私はロロってば恋しちゃってるんじゃないかって、そー思うのよぅ!!!」

「なんでそうなるんですか。たかがため息でしょう?ため息くらい、誰だってつきますよ。」

「もぅ!!!分かってないわね!!!あれはぜぇーったい恋のため息よっ!!!」

やる気満々な笑みでミレイがルルーシュに詰め寄る。
それをあしらうように、彼はくるりと背を向けた。

「もし仮に、ロロが恋してるんだったら、兄である俺が真っ先に見抜いてますよ。」

「………シャーリーの乙女心すら分からないルルーシュがぁ?」

ルルーシュの言葉にミレイは小さく呟いた。

「会長、なんか言いました?」

「いえ!!!なんでもー。まあ、事実を確かめるために、ここはお姉さんの出番ねっ!!!」

任せなさいというふうに、ミレイは自分の胸をどんと叩いた。
ルルーシュはそれを横目で確認しながらため息をつく。
それにしても、ロロが恋をしているなんて考えにくかった。もしそうならば、相手は誰だ………?










背後で軽い足取りが響き、僕は後ろを振り向いた。
長い髪を揺らしながら少女が駆けてくる。その少女を見たとたん、僕の表情は綻んだ。

「遅くなってごめんね、ロロ。」

「ううん、大丈夫だよ。それより本当に僕でいいの?僕、プレゼント選びなんてしたことなくて………。」

申し訳なさそうに、僕は下を向いた。
は「そんなことない!!!」と否定して、僕の腕を掴んで言う。

「いいのっ!!!ロロが来てくれたほうが、すっごく頼りになるから!!!
私が………ロロと一緒にお兄ちゃんへのプレゼント、選びたいの。」

少し恥ずかしそうにして、は僕から顔をそらす。
一瞬「え?」と僕は思ったが、の赤らんだ顔を見て、表情をゆるませる。
僕は優しくの手をとって歩きだした。

、ありがとう。」

「なんでロロがお礼を言うの?お礼を言うのは私のほうよ。変なロロ……。」

小さく吹き出してが笑ったので、僕も一緒に笑った。
そのあと、握られた手を握り返しは呟く。

「あのね………ありがとう、ロロ。」

「どういたしまして。あ、そうだのお兄さんの話、聞かせてほしいな。」

プレゼント選びの参考にするからと、僕は彼女に告げる。
は少しはにかんだあと、ゆっくり話始めた。

「私のお兄ちゃんはね、私と凄く年が離れてるの。
今はお仕事でブリタニア本国にいるわ。とっても優しくて、頭がよくて、みんなの憧れの存在。
私の自慢のお兄ちゃんなの。もうすぐエリア11に帰ってくるのよ!!!」

が嬉しそうに話すので、僕も一緒に嬉しくなった。
でも………知らなかった。このあとすぐ、僕に残酷な運命が待っているなんて。
ギアスは決して、僕に幸せはもたらさないんだと、思い知らされた………。











「扇、次に障害となるブリタニア軍の部隊は?」

学生・ルルーシュは声をひそめてしゃべる。電話の相手である扇はすぐさま答えた。

「ライ・とかいう指揮官が指揮をとる部隊です。
今は本国にいますが、近々エリア11に帰ってくるみたいですね。
頭脳明晰で人望も厚いと評価されていて、黒の騎士にとっては脅威になりそうです。
ライ・には妹が1人いて、その妹はナイトメアの操作に関して、
枢木スザク並みの腕前を持つというデータがあります。」

ルルーシュは目をつぶって扇の話を聞いていた。
………確かに黒の騎士団が活動する上では脅威だ。
スザク並みの腕前を持つと言われる妹のほうも………。
次に狙うはライ・とその妹だろうか………?
それがロロの初恋の相手であると、の兄であるとも知らずに………。









きっとここから始まっていくんだね2