音楽の教師から、の探していた楽譜が図書室にあったと聞かされた。
とってもとっても探していたから、あったと聞かされては一目散に図書室へと駆けていく。
その場で、教師が呼び止めたのも聞かずに。
教師は困ったように頭をぽりぽりとかき、一人呟いた。

「や………取りにいくのはいいんだけど、置いてある場所が……な。
アイツの場合、気にせず探すだろうがその………。」




確実に、見えるだろ………?



特に、あんな可愛い女子生徒のは、みんな群がるだろうが……。
誰か男子にとってもらえばいいんだろうけど。

もう一回、音楽教師は頭をかいた。









「わぁ〜…………。」

図書室に来て、先ほど教師から教えられた棚にいけば探していた楽譜を見つけた。
下から目をキラキラ輝かせながら楽譜を見つめ続ける。
ただ、問題はその本の置いてある位置だった。

アッシュフォード学園の図書室は、比較的大きなほうで、天井近くまである棚にはびっしりと本が詰め込まれている。
の欲するその楽譜とは、一番上の一番端にひっそりと立てられていた。
本をとるために設置してある移動式のロフトを登っていけば、難なく取れる位置にある。
ただ、高いのが少し苦手なは、ロフトを登るのをためらっている。
それでも端に立てられた楽譜がどうしても欲しかった。

意を決して、はロフトに足をかける。
基本的に、彼女には危機感というものが全くない。
だから、このあとに起こる事態は全く予想していなかった………。

落ちないように一歩一歩慎重に登っていく
一番上まで上り、欲しかった楽譜に手をかけた瞬間、視線をその楽譜の横へとずらす。
そこではまた目を輝かせた。
どうしても読みたかった本がそこにはずらっとならんでいた。
シリーズもので、1から最終巻まで全て揃っている。

「探してた楽譜の横に、読みたい本を見つけちゃうなんて、なんかちょっとラッキーだなぁ〜。」

はのんきにその1冊を手にとって、パラパラとめくってみる。
本に染み付いた図書室の独特なにおいが彼女の鼻をくすぐった。
このにおい、はキライではなかった。
楽しそうに本の中身を物色する彼女。
その下で起こっていることを、自身は全く知らずに………。









「お、おい………あれ!!!」

ミレイのおつかいで、図書室に来ていたリヴァルとスザク。
いきなりリヴァルに腕をつかまれ、スザクはこけそうになった。
軍人だが、普段はどこか抜けている彼。
そんなスザクにはおかまいなしに、リヴァルは悲鳴のような声をあげてスザクに訴えた。

「スザク!!!やややややばいってあれ!!!」

かなり焦った表情を浮かべ、リヴァルが本棚のほうを指差す。
スザクは首をかしげた。何故かそこだけ男子学生だけが群がっている。
彼が群がっている男子学生の視線を辿ると………。

……………。」

スザクの表情が、一瞬黒いものへと変わった。
彼の黒い部分を知っているリヴァルは、「ひっ。」と小さく悲鳴を上げる。
ロフトに登ったまま、一生懸命本を読んでいる彼女。
つまりは下からスカートの中が丸見えで………。
ゆっくりとスザクはその方向へと歩んでいく。その顔に、怪しい笑顔を浮かべたまま。
彼にはもう、以外何も見えていない。

スザクは黒い笑顔を浮かべたまま、群がる男子生徒たちに話しかけた。
「ねぇ君たち、僕のの何を見てるのかな?」と。
彼はわざと、「僕の」の部分を強めに言った。
スザクとの関係は、この学園のほとんどの生徒が知っている。
その声に一瞬でみんなが凍りついた。声の主を確認し、そのままそそくさと立ち去っていく。
満足したようにそれを見ていたスザクは、下からを見上げた。

レースのついた、いちごの…………。

あぁ、これをみんな見ていたのか。
僕以外に見せるなんて………。
彼は下からに声をかけた。顔にはさっきの笑顔が張り付いたままだった。

「ねぇ。今日はいちご柄なんだね。」

ストレートに言ってやった。スザクの存在に気付く
本から目を離し、が頭に疑問符を浮かべながら、「スザク……?」と彼の名前を呼んだ。
しばらく流れる沈黙の時間。
とっさにが理解したように顔を真っ赤にさせながら自分のスカートを後ろからおさえた。
手に握られていた本が支えを失い、落下する。
器用にスザクはそれを受け止めた。

「すすすすす、スザクのエッチ!!!」

慌ててが降りてくると彼のから本を奪おうと手を伸ばす。
涙目で、耳まで真っ赤。
ふるふると体を震わせて怒っている。

(可愛すぎ、………。)

笑顔のスザクが更に笑顔となる。
その狭間に見え隠れする黒い黒い独占欲。
他の男子の前でスカートの中を見せたが、とっても許せない。
だから彼は伸ばされた彼女の手を強引に掴むと、無理矢理自分の腕の中に収めた。
何が起こったのか分からない彼女に、スザクが怪しく笑って囁いた。

、前にも言ったよね。君はもっと危機感を持ったほうがいいって。
あんな刺激の強いもの、男が見たらどうなるか知ってるの?
ちょっとしつけが必要かなぁ〜。」

「ちょっ………えっ!?スザクっ!?それってどういう………!?」

みんな見てたと知らず、はスザクの腕の中で混乱する。
恥ずかしさも怒りも、混乱に飲み込まれていた。
ちゅっ………とスザクはわざとらしく音を立てて額にキスしたあと、に言った。

、他の男の前でスカートの中をさらした罰で、今日は寝かせないからね。
僕がいっぱいしつけてあげる。」

耳元でそう囁くと、全て理解したは更に顔を真っ赤にさせる。

みんな見ていた!!!しかもレースのついたいちご柄のパンツを!!!

「え、ええええええ!?どうして教えてくれなかったのよスザク!!!」

バシバシと彼の胸を叩くが、危機感を持ってなかったが全部悪いわけで。
その夜たっぷりとスザクに食べられたでした。












狼たちは子羊に忍び寄る。














オマケ。

次の日、三人しかいない生徒会室で。
ルルーシュはやけに機嫌のいいスザクに声をかけた。

「おいスザク、やけに今日は機嫌がいいな………。」

「そう?僕はいつもと同じだよ?」

そのそばで、ぐったりするに視線を移すルルーシュ。
そういえば……と、昨日図書室で起こった出来事を、ルルーシュは噂で聞いたことを思いだす。
再び二人に視線を戻し、「あぁ。」と納得した。
彼はそのまま呟いた。

「スザク、男ってそんなもんだよな………。今回はのほうが悪い。」

「だよね、ルルーシュ。」

二人を睨みながら会話を聞いていただった。













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高校の時、階段を上がる同級の子のスカートにひやひやさせられた思い出(笑)
や、私はスカート長かったですから………。優等生♪