EU連合と戦争が激しくなった今、は兵士としてナイトメアを与えられ戦地へと送り込まれた。
銃で撃たれ味方が死んでいく中、だけが立ち止まることなく敵を全滅させた。
ブリタニアが苦戦を強いられるはずだった戦争は、一瞬にして終わった。

戦争が終わって、戦地からは大量の負傷者が戻ってくる。その中にはいた。
傷だらけだったものの、彼女は平気な顔をしている。
彼女は痛みを感じない、サイボーグだから………。

「うーん、結構弾丸が体を貫通したみたいだねぇ〜。」

「すいません。でも正面から攻撃せよという命令だったので………。」

の言葉にロイドは大きくため息をつく。
「命令に忠実すぎるのもねぇ」と小さく呟いた。

「どこかおかしなとこはないわけ?」

「はい。今のところ異常はありません。思考回路も正常に働いてま………」

「ストップ!!!あのねぇ君。普通の女の子は、思考回路とか言わないの。
おかしなとこがないんならないって、それだけを言えばいいわけ。」

うんざりしたようにロイドが言う。
サイボーグである彼女に、人間らしさを求めるのもどうかと思った。
でも、目の前にいるはどう見ても人間に見えてしまう。

彼女を作ったのはロイドじゃない。もっと別の研究者たちだった。
その研究者たちはの次に作ったサイボーグの暴走により、命を落としてしまったが………。
なぜ彼らは、殺戮兵器である彼女を人間そっくりにしたのだろう。
いまだにそれがロイドの疑問だった。
に目を向けると、きょとんとした顔つきでロイドを見ている。赤い唇が動いた。

「私は………普通の女の子じゃありません。それにロイドさんは私を直してくれます。
だから詳細をちゃんと伝えないと………」

「はいはい。わかったから。君に人間らしさを求めた僕が馬鹿だったのかもね。」

「人間………らしさ?」

彼の言葉を聞いてポツリと呟く。ロイドには、が何かを考えているように見えた。
俯き加減だった彼女の顔が上がり、ロイドに質問が投げ掛けられた。

「ロイドさん、私はいつか、人間になれますか?」

彼女の問いかけに、ロイドは一瞬言葉を失う。
しばらく沈黙が続いたが、彼は一言呟いた。

「いつか、なれるかもね。」

ロイドの答えに、は驚くほど綺麗に笑った。







人間らしさ