(注意書き)
*御子柴琳→P3主人公
*大空燕→P4主人公
「、今日は俺と一緒に帰らないか?」
ヘッドフォンを肩にかけた琳が言う。
は「うん、いいよ。」と言おうとして笑顔を作った。
口を開きかけた時、横からぐいっと肩を引っ張られる。
その犯人は………
「琳、残念だけどは今日も俺と帰る。」
「………燕。」
キリっとすぐに琳の瞳が燕に向いた。
しかし燕のシルバーの瞳はゆらぐことがない。
そのままにらみ合ってる2人の少年に挟まれて、はおろおろするしかなかった。
「じゃ、じゃあ……3人で帰ろうよ?ね?」
苦笑を浮かべつつそう言ってみるが、二人ははっきりと叫んだ。
「それはダメだ」と………。
はうなだれて、恨めしい気持ちいっぱいで2人を見る。
クールな主人公たちは、その内側に激しく燃えるものをもっているらしい。
「ってさ、いっつも大変そうだよねー。」
・ゆかり・千枝の3人で帰っているとき、不意に千枝がそう呟いた。
すぐにの視線が千枝に向く。
分かっていないような顔をしていたので、千枝の代わりにゆかりが言った。
「千枝が言ってるのは、御子柴君と大空君とのことだと思うよ。」
「そうそう。この前もさ、2人とも『俺がと帰る!』とか言って喧嘩してたじゃん。」
「あ………見てたんだ。」
が2人に苦笑を向けた。
千枝が「見てたっていうよりも、見えたっていうか……」と口ごもった。
ゆかりは空を仰いで呟く。
「あの2人、やっぱ主人公だから人目惹いちゃうんだよね。」
そう言いながら心の中では少しだけ、真田に同情した。
真田がのことを好きだと知っているから。
そんなゆかりと同じように、千枝も陽介に同情する。
(真田先輩、頑張って御子柴君を超えてくださいね。)
(あーあ陽介。アンタ相当頑張らなきゃいけないみたいだよー。)
複雑な顔をする2人に、は不思議そうな表情を向けるのだった。
学校の屋上で、順平と陽介が夕日を見ながら話をしている。
「なぁ順平、俺ってやっぱり勝ち目ないと思う?」
「いきなり何のことだよ?」
怪訝な顔をして順平が言葉を返した。
いつになく真剣な陽介が隣にいる。そんな彼が口を開いた。
「だから、のことだよ。」
「っちのこと?勝ち目って……まさか陽介、お前琳と燕を敵に回す気じゃ……」
ぶるっと体を震わせて、順平は琳のことを思い出した。
彼はが絡むと目つきと態度が変わる。そう、まるで氷のように冷たい目。
顔は笑っているが、目はぜんっぜん笑っていない。
「でも、俺が好きなんだよ。
順平、お前にはチドリっていう可愛い彼女がいるから分かってくれるだろ?
俺がを好きでいる気持ち!」
「やー………わかる。わかるけどさ、相手が悪いと俺っち思うわけよ。
だって燕はどうか知らないけど、相手は琳だし……な。」
順平が戸惑っていると、陽介ががっくり肩を落として呟いた。
「やっぱりなー。そうだとは思ってたけど、御子柴も燕と一緒の属性かよ。」
その呟きに順平は目を丸くする。
御子柴と同じ属性ということは…………順平は思いっきり立ち上がって叫んだ。
「御子柴も……って、まさか大空燕も琳と同じ属性なのかよーっ!!!」
陽介がコックリと頷く。
順平は顔を引きつらせたまま、ただ一言だけ陽介に言葉を送った。
「まぁ、がんばれよ?」
魔王属性の主人公・御子柴琳と大空燕。がんばれ、花村陽介。
心の中でエールを送る伊織順平だった。