とが部屋で話しているころ、のことでモヤモヤを感じたゆかりは、
外の空気を吸おうとエントランスに来ていた。
ゆかりは密かにのことを想っていた。
優しくて、クールな性格の彼と親しく話すことは彼女にとって何よりの至福。
だけど、さっきのは何?
彼らはお互いに呼び捨てだった。
「」と呼べば「」と答えが返ってくる。
それがちょっと気にくわない。
今は影時間。
扉をそっと開けると、車は動きを止め、通行人は象徴化している。
この光景が、ゆかりにとっての当たり前の時間。
深呼吸をし、一人でつぶやいた。
「君とさんか。」
もう一回、深呼吸をしようと目を閉じかけた時……。
「ハッハッハッ……。」
獣が呼吸する音が聞こえた。
ゆかりは氷つく。
ペルソナ使いで無い限り、動物でさえ象徴化する時間。
なのに……。
「何?この音……。」
恐る恐る近くの暗がりに目を向けた瞬間、何かがゆかりに飛び掛った。
「い、いやぁっ!!!」
ゆかりの叫び声が聞こえ、とは笑うのをやめた。
二人は真剣な面持ちになると、はじかれたように部屋を飛び出していく。
階段で美鶴や真田、順平と鉢合わせした。
みんな大急ぎで階段をおり、玄関の扉を開けると……。
「ちょっ……くすぐったいってば!!!」
ゆかりが大きな獣に押し倒されて、顔をペロペロなめられていた。
みんなが安堵する。
しかし、その中で一人だけ驚きの声を上げると、獣に近づいていってぴしゃりと言った。
「ケルベロス、いつも人を舐めるのはやめなさいって言っているでしょ?」
ケルベロスと呼ばれた獣は声の主のほうを見て、
しっぽをブンブン振ったまま一目散にのほうに駆け寄ってくる。
とても嬉しそうだった。
はため息まじりにしゃがみこむと、駆け寄ってきたケルベロスの頭をわしゃわしゃと撫でてやる。
ケルベロスは気持ちよさそうに目を細めた。
「うっわ、すげぇなコイツ。ちっとライオンみたいに見えるけど、仕草は犬だな……。
っち、俺も触りてぇ〜♪」
「どうぞ?」
順平が恐る恐る手を差し出すと、ケルベロスは順平の手をくんくん嗅ぐ。
そのままふいっと横を向いた。
「ぷっ」と真田と美鶴が笑った。
もを見ながらふっと顔をほころばせる。つられても笑った。
「………犬っころに無視されたぞ?流石にこれは凹む。」
差し出した手を引っ込めながら順平が低くつぶやいた。
今まで顔を舐められていたゆかりが上体を起こすと、に激しく抗議した。
「ちょっと何よコイツ!!!人の顔をペロペロと……。
あなたのペットならちゃんとしつけてよ!!!」
怒りで顔を真っ赤にするゆかりを、順平がなだめに入った。
はすまなそうに「ごめんなさい。」と謝ると、ケルベロスを連れて寮に入っていった。
そのあとを、すぐさまが追った。
「何なのよ!!!」
ゆかりの怒りはまだ収まらなかった。
それはあの獣に顔を舐められたこともあるが、密かに想いを寄せているが、
自分に見向きもせず、すぐさまのあとを追ったことに原因があった。
「………ところで桐条先輩。」
「何だ伊織。」
先程までゆかりをなだめていた順平が、思い出したように口を開く。
「あれ、なんすか?犬……にしてはライオンに似てるし、でかいし……。」
彼の言葉に、寮に入ろうとしていた真田までが足を止めた。
美鶴の眉もピクリと動く。
しばらく沈黙が続いたが、ふぅとため息をつき、彼女が言う。
「あれが悪魔さ。
ケルベロスって言ってな、がデビルサマナーとして使役してる悪魔。」
真田も表情を和らげて美鶴の言葉に一つ足した。
「昔からケルベロスは人によく懐いてな、俺もよく顔をなめ回されたものだ。
全然変わってないな……。」
思い出をたぐり寄せるように彼は月を仰ぎ見ると、静かに寮へと入っていった。
美鶴もゆかりに「ゆっくり風呂につかるといい。」という言葉を残してその場を去っていく。
「………なによなによ。」
ゆかりは順平に聞こえないように呟いた。
そんなに彼女がいいの?
私知ってるんだから。
彼女が君の部屋の中に入っていくの。
普段あんまり笑わない彼が、ドアの前に立つ彼女に少し微笑んでいた。
どうしてなの……?
どうしてあなたは私に心を許してくれないの?
どうして、どうして、どうして………。
「ゆかりっち……?」
心配する順平を突き飛ばし、ゆかりは自分の部屋へと駆けていった。
この涙を誰にも見られたくないという一心で。
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ごめんなさい、ゆかりさん。
P3主人公が好きなアナタは、
必然的に夢主人公のライバルとなってしまうの。
とてもいいポジションにいたりするの。
ゆかりが悪いわけじゃないの。
決して私はゆかりが嫌いなわけじゃないですよ?
むしろ好きだったりしますよ?
だから今一生懸命fesのほうでゆかりコミュを上げてるの(笑)
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