僕はここにきて、初めて彼女と出会った………。 太陽よりも輝く笑顔を浮かべる君。 一瞬で、虜にされた………。 「ジノゥーっ!!!」 今日もナイト・オブ・ラウンズが揃う部屋ではいつもの光景が繰り広げられている。 白い服に身を包んだ彼女が、ソファに座るジノ・ヴァインベルグに飛びついてきた。 「アーニャがっ!!!アーニャがぁっ!!!」 かすかに涙声の彼女に、スザクは本から顔を上げる。 ジノの膝に乗っている少女………・は涙目でジノに訴えていた。 ジノは少し恥ずかしそうにしながらも、スザクの視線に気付くと彼に鋭い目つきを向ける。 まるで『見てるんじゃねぇーよ!!』と言っているようだった。 スザクはため息をつき、本に意識を戻しつつぼそりと呟く。 「またアーニャにいじめられたの………?」 このフレーズを言えば、が反応するということを知っていたから。 今日もスザクの予想通りの反応。 ぐるんとの首がスザクを向く。 そのままジノから離れてはスザクの後ろからすがりつくようにして抱きついた。 「そうなの!!!スザク、アーニャを何とかしてよぅ………!!!」 「なっ…………!!!」 「ちょっ………!!!」 驚いて声をあげたのはスザクだけじゃなかった。 ジノもの行動を見て、驚きの声を上げる。 スザクはというと…………好きな女の子に抱きつかれたうえ、 背中にあたる何か柔らかい感触に耳まで真っ赤にさせていた。 パタンと、音を立ててスザクの手から本が離れた。 そんなことに気付かないまま、はスザクに懇願した。 「アーニャったら昨晩何の写真撮ったと思う!? 私がおっきいクマさんと一緒に寝てる写真をこっそり撮ってたのよ!? しかもブログにまでその写真載せて…………。もう朝から大変!!! 変な人たちに追っかけられるし、どこにいってもクマさん押し付けられるし………。」 (クマさんと一緒に…………かわ…………可愛い!!!) そう思ったのはスザクだけではなく、ジノもだった。 二人の男がそう思っていることも知らず、は訴えるたび、ぎゅっと腕に力が入っていく。 かすかに震えている感じに、スザクはさっきの考えを頭の隅に追いやった。 怯えている……………。 「もう…………こわいよ。」 アーニャが怖いのか、それとも追いかけられたことが怖いのか、スザクには分からなかったけど。 とにかく、そんな可愛いの写真を見た奴らを、今度一掃してやろうとスザクは思った。 そう決心しつつ、安心させるように抱きついてくる人物の手を優しく握ろうとした瞬間………… べりっ。 スザクからがはがされた。それも、ジノの手によって。 突然なくなったぬくもりと重みに驚き、スザクが後ろを振り返ると、そこにはジノがたっていた。 を自分の腕におさめて。 なんとなく、スザクを見る目が冷たかった。 「、スザクに頼る前に俺を頼れよ。こんなに震えて………。」 「ううっ、ジノォ〜…………。」 がジノの胸にすがりついて泣き始めた。 彼女にとっては、スザクでもジノでもどちらでもよかったみたいで。 のぬくもりと、あの柔らかい感触がまだ背中に残っている。 残念だな、あと少しだったのに…………と思うスザクは、自分の元から離れるジノに少し睨みをきかせた。 彼は再び本を手に取り、さっきまで読んでいたページを開く。 今度はジノじゃなくって、僕を頼って欲しいのになぁー……と考えながら。 が触れていた部分を触ると、彼女の香りが立ち込めたような気がした。 Look to Suzaku or Gino ----------------------------------------------------------------------------- 私もでっかいテディ君(テディベア)が欲しいです。 back |