淡いピンク色のコートを着たが、長靴をはいて庭を駆け回っていた。
世界は白銀で覆われ、が笑い声を上げる度に白い息が上がった。

、滑らないようにしろよ!!!」

玄関に立ったルルーシュが叫ぶと同時に、は派手に滑って転んだ。
泣く……とルルーシュは思ったのだが、彼女は体を雪に横たえたまま、キャッキャッと楽しそうな声を上げる。

この少女、体は17歳だが、精神はまだ幼い。
彼女はブリタニアの生物兵器として生まれたが、C.C.によって盗み出される。
C.C.は「」という、人間の名前を与え、をルルーシュに託したのだ。

、ほら起きるんだ。風邪をひくだろう?」

ルルーシュは慌ててに駆け寄り手をひっぱる。
ぴょこんとは起き上がって、すぐに座り込んだ。
ルルーシュ手製の手袋をしたまま、雪を丸め始める。

、何してるんだ?」

彼女のやろうとしてることがいまいち分からず、ルルーシュは尋ねる。
しかしは言葉を返さなかった。

黙って見ていると、彼女は二つの丸めた雪を上下にくっつける。
そのまま自分のかぶっていたニット帽をとって、雪にかぶせ、それをルルーシュへと差し出した。

それは顔のないスノーマン。

ニコニコ笑うを見て、ルルーシュはスノーマンを受け取った。
さすがにまだ、顔を作るという概念はには存在しないか……と思いながら。

「ありがとう、。」

「……ぷれぜんと。」

「え……?」

不意につむがれた言葉に、ルルーシュは眉を潜めた。
をじっと見つめていると、彼女はルルーシュの頬に手を当てたあと言う。

「きょう、ルルーシュ、うまれたひ。」

「っ!?」

アメジストの瞳が開かれた。
がこんな言葉を口にすると思わなかったから。

「C.C.、教えた。今日、嬉しい日。」

そう言ってはルルーシュの胸に飛び込んでくる。
抱き締めれば、ひんやりと冷たいの体。彼女はルルーシュに力一杯抱きついた。
それはまるで、全身で「おめでとう」と言ってくれているようだった。

「ルルーシュ、もうひとつ、ぷれぜんと。」

しばらくルルーシュに抱きついたあと、彼の瞳をのぞき込んで言う。
不思議そうな顔をしたルルーシュのほっぺに、柔らかい彼女の唇が触れた。
ぴくんとルルーシュの体が反応する。

からのキス。

それは予想もできないようなプレゼント。
驚いたまま彼女を見ると、にこにこ楽しそうに笑っていた。
つられてルルーシュも頬を緩める。
少しだけ赤くなった頬を隠しながら、ルルーシュはのことを抱きしめた。

……ありがとう。俺は幸せ者だな。今年はとびきりのプレゼントをもらえて嬉しいよ。」

そのままそっと、彼女の耳元でルルーシュは囁くのだった。










スノーマン 〜君からのプレゼント〜