とある休みの日、堂島宅へ集まる3人の男子高校生がいた。
堂島宅で居候している。その友人の花村陽介。そして後輩の巽完二。
彼らはテレビのドラマを見ていた。
わりと人間関係がドロドロの、昼ドラ的展開のあるドラマ。
今回は主人公の男が、好きだった女性を別の男に取られるという展開で終了を迎えた。
がテレビを消した瞬間、完二が呟く。

「で、何で俺たち、こんなドロドロしたドラマ見てんですかね?」

「何となく流れで見ちまっただけだよ……。」

陽介は完二に言葉を返した。
確かに、何となくテレビをつけたらこのドラマをやっていたので、
つい見てしまった……という流れだっただけなのだ。

「てかさ、あのドラマの主人公、報われねーよな。
好きな女取られて、俺だったら多分、しばらく立ち直れねーわ………。」

「………あー、なんか花村先輩が言うと、リアルっスね。
先輩と殴り合いの喧嘩して、結局先輩を先輩に取られて相当落ち込んでたっスもんね。」

完二はさらっと言ったが、陽介には彼の言葉が深く突き刺さった。
「思い出したくもねーよ、そのことは……」と陽介が机の上に上体を投げ出した。
は涼しい顔をして彼を見ている。
暑い夏の日、のことが好きだったと陽介は、彼女をかけて喧嘩した。
結局彼女のハートを射止めたのは、だったわけで………。

「今だったら俺、あのドラマの主人公の気持ちがすげー分かるわ……。
なあ完二、もしああいう展開があって、お前だったらどうする?」

寝そべったまま、陽介は向かいに座る完二に視線を向けた。
陽介の質問に、完二の顔は真っ赤になっていく。
「ばっ………」と言葉をつまらせたが、横を向いてぶっきらぼうに答えた。

「俺はー……やっぱり好きな女は取り返したいっス。
ちゃんと告白して、それでその女が、別の男のことが好きだって言ったら、
もちろんキッパリ諦めるっスけど………って、すげー恥ずかしいこと言ってる俺!」

真面目に答えた完二は、慌てふためく。
そしてそのまま、彼は話をに振った。

「お、俺のことはどうでもいいっすよ!先輩は、どうっスか?」

「俺………?」

突然話を振られて、は考え込む。

「俺がお前にリアルな場面を想像させてやろうか?
お前がのこと好きだけど、は俺を選んで、俺とはラブラブ。
さて、その時お前はどうする?」

にやりと笑った陽介に、は睨みをきかせた。
そして彼はどこから取り出したかわからないが、テレビの中でかけるメガネをかけ答えた。

「俺だったら、陽介からを奪って、が逃げられないように既成事実を作る。」

「はあ………?」

「先輩、それ、どういうことっスか?」

ワケが分からないというように、陽介と完二の声が上がった。
艶やかに笑った燕は二人に言う。

「だから、陽介からを奪って、に種付けするんだよ。
の中にたっぷり俺の熱いせいえ――――」

「ちょちょちょちょちょ!ストップストップ!それ以上は言うな!
お前の言いたいことは分かったから、生々しいことは言わなくてもいい!」

から卑猥な言葉が出る前に、陽介は彼の口を塞いだ。
そばでは意味を理解した完二が、顔を真っ赤にして固まっている。
今この場には陽介と完二しかいないのだからいいものの、ここにがいたら………。

(絶対引くよな…………)

(こ、この先輩は……………!先輩も、何でこんな人選んだんだよ……。)

陽介と完二はお互いに顔を見合わせ、に視線を向ける。
彼はキョトンとして答えた。

「何か問題でもあるのか?聞いてきたのは完二と陽介のほうだ。
俺は正直に答えたまでだ。」

「だからって、そういう生々しいのはちょっと………」

「っていうか陽介、お前だって今までを想像しながら抜いてたんだろ?
本当はお前も、の中にたっぷり熱いせいえ―――――――」

「わあわあわあわあっ!!!!もういいっ!お前はそれ以上口を開くなっ!」

「ちょ、堂島さんいねーのかよ!この変態先輩どうにかなんねーんスかねっ!
堂島さんがいたら逮捕っスよ、逮捕っ!」

堂島家に響く、の卑猥な発言と、陽介・完二の焦った声。
その頃玄関では、仕事から帰ってきた堂島がその場に立ち尽くしていた。

「…………、やっぱりお前は俺の甥だ。
まったく、昔の自分を思いだしてるようで懐かしいな………。」

どこか遠い目をしてこの騒ぎを聞いている堂島遼太郎。
彼もまた、と同じ年齢の頃に卑猥な発言をして親友の湯木省吾を困らせていた経験を持つ。

「だから、俺はに子供を産んでもらいたくて、熱いせいえ――――――」

「もういい!頼むからお前は黙ってろ!」

「先輩、そんな人とは思ってなかったっス…………」

この場が収集するのは、もう少し先かもしれない。








とある男子高校生の休日